
ドメインの考え方
~リニューアル時に知って
おきたい基礎知識~ Renewal Essentials
「リニューアルを機にドメインを変えるべきか…?」そんな疑問を持つ担当者さまも多いのではないでしょうか。ドメインは単なるURLではなく、企業や医院の信頼性やSEO評価に大きく関わる重要な要素です。この記事では、リニューアル時に押さえておきたいドメインの考え方や注意点を解説します。
そもそもドメインとは?
ドメインとは、インターネット上の「住所」にあたるものです。ブラウザのURL欄に入力する文字列で、ユーザーがアクセス先を識別するための目印となります。たとえば「example.com」のように、ドメインは「文字列部分(example)」と「トップレベルドメイン(.comや.jpなど)」の組み合わせで構成されています。組織の信頼性や事業の範囲を示す役割もあるため、安易に決めるのではなく、WEBサイトを運用するにあたり検討することが大切です。
ドメインを変えないほうがいい理由

SEO評価がリセットされるリスク

ドメインには「ドメインエイジ」(ドメイン年齢)という考え方があり、長期間運用されたドメインは検索エンジンから評価を得やすい傾向にあります。そのため、リニューアル時に新規ドメインを取得すると、これまで蓄積された評価がリセットされ、検索順位が下がるリスクがあるのです。
例として、ある歯科医院が10年間「〇〇-dc.com」でサイトを運営し、多くのポータルサイトやブログからリンクを得ていたとします。ところが、「〇〇-shika.com」に切り替えると、検索順位が下がり患者さまのアクセスが減少してしまう可能性があります。また、ドメインを変更するとURLやメールアドレスもすべて変わり、名刺やパンフレット、看板などの修正が必要となります。こうした追加コストや手間も無視できません。
リダイレクトによる対応

会社名の変更や事業転換などでやむを得ずドメインを変更するケースでは、旧ドメインから新ドメインへリダイレクトを設定するのが一般的です。これにより一定の評価を引き継ぐことができます。ただし、完全に移行できるわけではなく、一時的に検索順位が下がる可能性は残ります。
また、旧ドメインが記載された名刺やパンフレットが大量に残っていても、リダイレクトを設定しておけばユーザーは新しいサイトに自動的に誘導されます。そのため、印刷物をすぐに差し替えられない場合でも一時的な救済措置となります。この仕組みはSSL化(httpからhttpsへの移行)の際と同様です。
ドメインの種類と選び方
.com と .jp の違い
皆さんも目にされる通り、最も多く利用されているのは「.com」と「.jp」です。これらはトップレベルドメインと呼ばれ、ドメイン名の末尾に表示されます。サイトの目的や対象ユーザーに応じて選び分けるのが基本です。
【.com】
世界的に最も利用されている汎用ドメインで、業種を問わずビジネスサイトに広く使われています。グローバル展開を視野に入れている場合にも有効です。
【.jp】
日本国内の個人や法人に利用され、「日本の組織」として国内ユーザーからの信頼感を得やすいのが特徴です。国内市場を重視する場合におすすめです。
業種によって選ばれる
トップレベルドメイン
※左右にスクロールできます
| 業種 | 推奨ドメイン | 特徴・事例 |
|---|---|---|
| 企業サイト | .com / .jp / .co.jp | 一般企業では.comや.jpが主流。上場企業や大手は信頼性の高い.co.jpを利用する例が多い。 |
| 教育機関 | .ac.jp / .edu | 大学や学校法人などが利用。.comを使用すると正規性に疑問を持たれる場合がある。 |
| 医療機関 | .com / .jp / .clinic /.vet | 総合病院は.jpや.or.jp、歯科医院や動物病院では.clinicや.vetなど専門性のあるドメインが利用されることもあるがややマイナー。 |
| IT関連 | .io / .tech / .net | スタートアップやシステム開発企業では「革新性」や「先進性」を示す.ioや.techを選ぶケースが増加。 |
| 不動産業 | .estate / .house / .jp | 「地域性」や「業態」を強調できるドメインが好まれる。不動産仲介会社で.example.estateを採用する例も。 |
| 飲食業 | .restaurant / .cafe / .jp | ブランド名+.cafeや.restaurantなど、業種に直結するドメインを利用することで、初見でも業態が伝わりやすい。 |
選ぶ際のポイント
- 目的を明確にする
グローバルか国内向けか、または専門性を強調したいかを基準に判断。
- 業種の特性を反映させる
医療・教育・不動産など、業種に適したドメインを選ぶことで信頼性を高められる。
- 覚えやすさと独自性を重視する
短くシンプルなドメインは、ブランドの浸透や広告での活用にも効果的。
ドメイン移管とサーバーの
引っ越し
~ドメイン移管と
SEOへの影響~
ドメイン自体は変えなくても、「管理会社を移す=ドメイン移管」を行う場合があります。通常はSEO評価に大きな影響はありませんが、DNS設定の不備や外部リンクの変更によって順位が変動する可能性はあります。特に外部業者が他のサイトに設置していたリンクが移管をきっかけに外れてしまい、順位が下がるケースも見られます。移管を行う際にはリンクの状況を事前に確認しておくことも大切です。
▼ドメイン移管に関する詳細は、こちらの記事でもご紹介しています。
~サーバー引っ越し時の
注意点~
リニューアルを機にサーバーを引っ越す場合には、「ネームサーバーの切り替え」が必須です。設定を誤ると、業務に大きな支障をきたす重大なトラブルにつながる恐れがあります。実際に、レンタルサーバーAからBへ移行したにもかかわらず、ネームサーバーの設定を行わなかったために、アクセスしても「サイトが見つかりません」と表示され、新サーバーのサイトが公開されないケースがあります。このような状況では、メールも利用できなくなります。
こうしたトラブルを避けるには、旧サーバーと新サーバーを一定期間併用するなど、余裕を持った計画的な移行が推奨されます。さらに検索エンジンに浸透させる期間も考慮し、十分なスケジュールを確保して進めることが望ましいです。実務面では、これらの作業は専門性を伴うため、公開を担う制作会社が手続きを行うことが多いと思いますが、予備知識として把握しておくとよいでしょう。
まとめ
長年利用してきたドメインにはSEO評価などが蓄積されており、安易に新しいドメインへ変更すると、それまでの評価を失ってしまうリスクがあります。もちろん、会社名の変更や新規事業の展開など、どうしても変えなければならない場合もありますが、その際はリダイレクトを設定し、できる限り評価を引き継ぐようにします。
ドメインの新規取得を検討する際は、.comや.jpといった汎用的なドメインを選ぶのが一般的かと思われます。珍しいドメインの場合、サーバー社によって移管を受け付けていないこともあり、更新費用や長期的な運用のしやすさなど、実際の管理面も重要な判断基準となるでしょう。 サイトリニューアルをご検討中の方は、デザインやコンテンツの刷新だけでなく「どのドメインで運営を続けるか」という選択も、今後のサイト運営を左右します。ぜひ本記事を参考に、長期的な視点を持って判断していただければ幸いです。