成果につなげるWEB戦略の使い分け Web Strategies for Success
「HP(ホームページ)」と「LP(ランディングページ)」という用語を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。どちらもWebページの一種ですが、果たす役割や構成、運用方法は大きく異なります。この棲み分けを正しく理解し、自社の事業や目的に応じて選ぶことが、Web戦略の成果を左右するポイントです。本記事では、HPとLPの区別や目的に応じた使い分けについて解説していきます。
HPは“企業・ブランドの顔”、
LPは“今すぐ行動”を促すための導線
まず大きな違いとして挙げられるのは、ページの目的です。
HP(ホームページ)
HPは企業や店舗の「顔」として機能するWebサイトです。会社概要や事業内容、採用情報など、幅広い情報を発信する基盤となるページであり、さまざまなユーザー(新規・既存・リピーター・採用希望者など)に向けた構成が求められます。基本的に複数ページで設計され、SEO対策との相性が良いため、検索エンジンからの流入を見込めるのが特徴です。長期的なブランディング強化や信頼性向上を図るうえで欠かせない存在です。
HPが推奨されるケース
- 公式Webサイトをまだ持っていない企業・店舗の場合
- 自社の事業やサービスを包括的に紹介したい
- 検索エンジンからの集客を狙いたい
LP(ランディングページ)
LPは特定の商品やサービスに絞り、ユーザーに「申し込み」「予約」「購入」「資料請求」などの具体的な行動(=コンバージョン)を促すことを目的としたページです。情報は1ページに集約され、ユーザーの関心や行動心理に沿って、アピールしたい内容の順序を組み立てます。これにより、予約や購入といった実際のアクションにつなげ、顧客獲得や売上向上といった結果へとつなげます。
そのため、あらかじめターゲットを明確化し、訴求ポイントを絞った構成が求められます。特に短期間で成果を上げたい施策に適しており、広告運用との親和性も高いのが特徴です。Googleリスティング広告やSNS広告などのリンク先として設計されたLPは、広告効果を最大化する役割を担います。
LPが推奨されるケース
- 特定の商品やサービスの販売促進を図りたい
- キャンペーン・イベントの参加を募りたい
- Googleリスティング広告やSNS広告との連動による集客を強化したい
Text ハイブリッド型でWeb集客の底上げを図る
HPとLPどちらか一方を選べばよいというものではなく、併用してそれぞれの特性を生かすことが理想的な運用方法です。たとえば、HPでは企業全体の情報を提供しつつ、LPではキャンペーンや限定サービスを集中的に訴求するといったように、「情報提供」と「行動喚起」を分担させることで、より高い効果が期待できます。
ハイブリッド型で運用することで、HPでは広く見込み顧客を集めつつ、LPでは「今すぐ行動を起こしたいユーザー」へピンポイントにアプローチする導線を作ります。これにより、短期的な成果と中長期的なブランディングの両立が可能となります。さらに、リスティング広告などでLPへの集客を図りながら、HPにも自然に流れる導線をつなげていくことで、Web全体のパフォーマンスをバランスよく追及できます。
【例】歯科医院でのハイブリッド運用
HPでは一般診療をはじめとした全世代向けに情報を網羅した内容で構成していきます。ここでは来院数の増加、つまり数の底上げを第一に考え、クリニックとしての認知をメインとしたベーシックな展開と捉えることができます。
しかし、診療の中でも「矯正治療」や「インプラント」などといった自費診療にフォーカスしたい場合、HPで定めた全世代向けとは限らず、若年層やその他の層がターゲットになり得ます。また、複数あるページ内にあるため、求めるユーザーへの導線としては弱く、情報量としてもアピールに欠けることが想定されます。
そこで、それらの専門内容に特化したLPを別軸で用意することで、他のページに遷移することはせず、LP内で充実した情報を完結させ、より焦点を絞ったターゲット層にアプローチすることができます。さらにリスティング広告やSNS広告と連動させ、LPにダイレクトに誘導することで直接的な訴求に繋がります。
こうしてHPで医院全体のブランディングを行いつつ、LPで予約や問い合わせといった具体的なアクションを促すのが、ハイブリッド型Web戦略の活用例です。
実例として、弊社で制作した歯科医院様の公式HP内矯正ページと矯正LPの違いをご紹介いたします。










両者を比較すると、公式サイトは「矯正治療」のメリットや使用機器、治療の流れなど、歯科医院全体の診療概要として紹介しています。
一方、矯正LPは治療方法をより具体的に解説し、お子様向けや年代別の訴求ポイントを盛り込み、予約へつなげるために適宜CTAを配置するなど、矯正治療を検討する患者層に焦点を当てた構成となっています。これにより、幅広い層へのブランディングと特定層へのピンポイント訴求を両立しています。
LP制作時に押さえておきたいポイント
CTA(Call To Action)を分散して複数配置する
スクロールのたびに「資料請求」「予約する」「問い合わせる」などのボタンを配置し、ユーザーが行動を起こしやすい導線を設けます。ページ内のどの位置からでもコンバージョンにつながるよう、CTAを複数設置する工夫することが重要です。
信頼性を高められるエビデンス(証拠)を提示する
実績データや症例写真、受賞歴など、客観的な証拠となる情報を掲載することで、視覚的に納得してもらいやすくなります。その結果、コンバージョン率の向上が期待できます。
広告的視点でコンテンツを設計する
広告経由での流入を前提とする場合は、広告の文章とLPの内容に一貫性を持たせましょう。広告の内容とLPで提供する情報が一致していないと、ユーザーの離脱につながりやすくなります。「誰に」「何を」「どう伝えるか」を意識しながら構成することが大切です。
成果を出すためには継続的な見直しが必要
HPもLPも、制作しただけで成果が出るわけではありません。効果を最大化するには、ユーザーの行動分析やヒートマップ、アクセス解析などを通じて課題を洗い出し、改善を重ねていく取り組みが不可欠です。とくにLPは、短期間で結果を求められるケースが多いため、定期的な見直しと更新が求められます。たとえば、以下のような施策が有効的です。
- ヒートマップでユーザーの動きを可視化・分析する
- 離脱ポイントを検証し、コンテンツ内容や文言を改善する
- ABテストを実施し、コンバージョン率の高いパターンを採用する
複数パターンを比較検証することで、どのデザインやコンテンツが最も成果につながるかを客観的に判断できます。
さらに、SEO対策や長期的な集客力の強化という観点では、HPにブログ機能を設け、専門性の高い記事や事例および症例紹介を継続的に発信していくことも有効です。質の高いコンテンツを蓄積することで検索エンジンからの評価が高まり、自然検索(オーガニック検索)による流入を増やす一助ともなります。
まとめ
HPとLPの役割の違いを正しく理解し、自社の目的やターゲットに応じて使い分けることは、Web戦略におけるパフォーマンスの向上に欠かせません。さらに、両者を効果的に併用することで、企業のブランディングから、問い合わせ・購入といった具体的なアクションの獲得まで、あらゆる段階の顧客にアプローチできるようになります。
Webサイトを制作する際は、「誰に向けて情報を届けるのか」「何を伝え、どんな行動を促したいのか」というゴールを明確にし、広告なども活用しながら、戦略的に設計していくことが重要でしょう。