
デザインシステムとは?一貫したユーザー体験を支える設計思想と実例 What is a design system?
デザインシステムとは、プロダクトやサービスにおけるデザインの「共通言語」を作り、チーム全体で統一された体験を提供するための仕組みです。UIパーツ、カラー、タイポグラフィ、レイアウトといったビジュアル要素だけでなく、それらをどのように使うかというルールや原則、コンポーネント化されたコード、ブランドのトーン&マナーまで含んだ包括的なガイドラインといえます。
デザインと開発が一貫した形で進むため、意思決定のスピードが上がり、品質のばらつきが減り、規模が大きくなるほどその価値が発揮されます。特に複数チームが同時並行でプロダクトを開発する場合、デザインシステムはプロダクトの整合性を保ち、ユーザー体験を滑らかにする不可欠な基盤となっています。
Text デザインシステム事例とその特徴
デザインシステムは、企業の規模やプロダクトの性質によってその姿は千差万別です。単に「見た目を整える」だけでなく、各社がどのような課題を解決し、どのような価値をユーザーに届けたいと考えているのかが、システムの設計思想に色濃く反映されています。
ここでは、デザインシステムの先駆者であるグローバル企業から、アクセシビリティや一貫性を重視する国内の先進事例まで、代表的な3つの事例を紹介します。それぞれのシステムが持つ独自の特徴を比較することで、自社のプロダクトや組織に最適なデザインシステムのあり方を探るヒントにしてみてください。
Text Google Material Design
世界で最も普及しているデザインシステムの一つであるGoogleの「Material Design」は、デジタル画面の中に現実世界の物理法則を取り入れた「マテリアル(物質)」というメタファーを最大の特徴としています。影による奥行きの表現や、光の反射、直感的なアニメーションを用いることで、ユーザーが情報の階層構造をひと目で理解できるような工夫が凝らされています。
また、これをオープンソースとして公開しているため、WebやAndroid、iOSといった異なるプラットフォーム間でも一貫した操作感を提供することが可能です。単なるビジュアルルールに留まらず、世界中の開発者が高品質なプロダクトを迅速に構築するための、現代のデザイン標準を牽引する極めて包括的なシステムといえます。
Text デジタル庁 デザインシステム
日本の行政サービスのデジタル化を推進するデジタル庁の「Design System」は、アクセシビリティと高い公共性の確保を最優先に設計されています。年齢や障がいの有無、デジタルリテラシーを問わず、誰もが迷わず行政サービスを利用できることを目指し、色使いやフォント、ボタン配置などのUIコンポーネントが厳格に定義されています。
また、このシステムは民間企業や自治体も活用できるようオープンに提供されており、日本全体のデジタル体験の底上げを図る「公共財」としての側面も持っています。行政としての信頼感を担保しつつ、バラバラだった各省庁のサイトに統一感のあるユーザー体験をもたらす、国家規模のブランディング基盤といえます。
Text Apple:Human Interface Guidelines(HIG)
Appleの「Human Interface Guidelines」は、長年にわたりデジタルデザインの聖典とされてきた歴史あるガイドラインです。Appleの核となる「直感的で洗練された体験」をすべてのデバイスで維持することに特化しており、ハードウェアとソフトウェアが一体となった美学を追求しています。開発者に対しては、iOSやmacOSといった各OSの特性に最適化された厳格なルールを提示する一方で、高い自由度と一貫性のバランスを保つための緻密な設計指針を提供しています。
細部への徹底したこだわりと、ユーザーのプライバシーや安全性への配慮が統合されており、Appleというブランドが持つ「革新的で使いやすい」というイメージを世界中で強固に維持するための源泉となっています。
CHECK!
- その他にも有名なデザインシステムとして、MicrosoftのFluent2、FigmaのUI2、AdobeのSpectrumなど国内外様々なものがあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?デザインシステムは、単なる UI キットではなく、プロダクトに関わる全員が同じ方向に進むための“共通基盤”です。統一性のある体験を実現しながら、開発・デザインの効率化、品質向上、スケールのしやすさなど多くのメリットをもたらします。実際、世界の大手企業も自社のブランドを保つために独自のデザインシステムを整備しています。プロダクトが複雑化・多様化する今こそ、デザインシステムは企業にとって欠かせない資産といえるでしょう。